ろ過の世界において、長らく主役の座にあったのは「砂」だった。しかし、その重厚長大な設備や、数年ごとの重労働であるろ材交換は、現場にとって大きな負担であり続けている。
脱水機のトップメーカーとして知られる株式会社石垣が、InterAqua 2026で提示するのは、その常識を過去にするソリューションである。
彼らが開発した 精密ろ過装置IDW-MF は、特殊な繊維ろ材を物理的に圧密することで密度を自在にコントロールする。急速砂ろ過の4〜7倍という圧倒的な処理速度と、MF膜に匹敵する精度を両立し、半導体から食品まで、産業界の水をアップデートする。
「水処理の現場において、砂ろ過は信頼性の高い技術だが、融通が利かない。一度入れた砂の粒径は変えられず、原水変動に対応するには限界がある。
石垣が目をつけたのは、30年以上前から実績を積み上げてきた繊維ろ材のポテンシャルだ。
新開発のIDW-MFは、特殊繊維を束ねた円筒状のろ材を使用する。最大の特徴は、ろ過時に上部及び下部から物理的に圧力をかけ、ろ材を均一に圧密させる機構にある。
「砂はいくら押しても縮みませんが、繊維ならスポンジのように縮められます。ギュッと潰せば密度が高まり、小さな濁質(1〜5µm)まで取れる≪精密ろ過≫」に。緩めれば抵抗が減り、大量の水をさばける≪高速ろ過≫に。このコントロールができるのが、他社にはない我々の強みです」。

図1:特殊繊維を束ねた円筒状のろ材

図2:精密ろ過装置IDW-MFの3Dモデル
この技術がもたらすメリットは劇的だ。まず、処理速度(LV)は40〜80m/hと、一般的な急速砂ろ過の4〜7倍に達する。これにより、ろ過に必要な面積を従来の約84%削減することが可能だ。
「工場の増産で水処理能力を上げたいが、敷地がない」。そんな現場でも、既存の砂ろ過槽を撤去したスペースにIDW-MFを置けば、お釣りが来るほどの余裕が生まれる。また、重量も軽いため、今まで設置不可能だった地下水槽上部に設置できる可能性もある。
性能面でも、凝集剤を併用することでSS濃度0.01mg/L以下、濁度0.1度以下という、MF膜と同等の精密ろ過を実現する。

図3:従来の砂ろ過機と精密ろ過装置の実機比較
精密ろ過といえばMF膜が主流だが、膜は目詰まり(ファウリング)に弱く、薬品洗浄や頻繁な交換コストが課題となる。
対してIDW-MFの繊維ろ材は、逆洗時に圧力を開放するとバラバラにほぐれるため、捕捉した汚れを容易に排出できる。
「ろ材はポリエステル製で耐久性が高く、交換周期は10年と、砂ろ過(3〜5年)と比較しても長寿命です。トータルのランニングコストとメンテナンスの手間は、既存技術と比較しても圧倒的に有利です」。
洗浄排水のロスも少なく、水資源を大切にする現代の工場の思想にも合致するだろう。

図4:従来の砂ろ過機と精密ろ過装置の運用コスト比較
「百聞は一見に如かず。まずはブースで4分間のCG動画を見てほしい」と担当者は力を込める。 InterAqua 2026のブースでは、50インチのモニターでIDW-MFの挙動を可視化したCG動画を放映する。繊維がどのように汚れを捕まえ、どうやって吐き出すのか。そのメカニズムを見れば、水処理に携わるエンジニアなら膝を打つはずだ。 ブースには開発エンジニアも常駐し、導入に向けた具体的なスペックや、既存設備からの置き換えシミュレーションなどの相談にも応じる。 「水処理は、成り行き任せにする時代から、コントロールする時代へ」。その進化を体感できる石垣ブースは、今回の展示会の目玉となるだろう。
小間番号 : 2S-Q17
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